イユ・キクラ(『トランプ騎士団』)
趙雲(『黒龍姫』)
表示されたのはイユと趙雲だった。中身はともかく男性との変更ということで、趙雲は安心した様子を見せている。一方のイユは、隣にいるティナと「見ない服だね」とうきうきした様子だ。
「えーっと、じゃあステージ上がればいいのかしら?」
言いながらイユが歩き出そうとすると、突然その姿が掻き消え、突如ステージ上に座り込んだ状態で現れた。その隣には趙雲が同じように膝をついている。
『失礼しました、説明が間に合いませんでした。イユ様、趙雲様、大丈夫でしょうか?』
安否を尋ねてくる謝にイユは軽く手を振り、趙雲は律儀に「問題ありません」と応えた。
『改めて説明させていただきますと、このように、選ばれた方々は自動的にステージ上に送られる仕組みとなっておりますので、そのままで結構です』
仕組みとしては去年のバトルロイヤルと同じようなものだ。
『それでは衣装を交換いたします』
宣言すると同時にコルク音がし、煙が生じる。そして晴れた時には、イユと趙雲の衣装は互いに変わっていた。風兄妹の時は謝の衣装が衝撃的過ぎて流してしまっていたが、上方も変わるらしい。イユは後頭部の高い所で髪をひとまとめに、趙雲は頭の横で一まとめにするという互いの髪型になっている。
「ふぅん、不思議な作りねぇ」
自分の住む世界ではお目にかかれない服の構造にイユが気をとられていると、会場からはやんやと声が上がった。
「イユさんカッコいー」
「趙雲、結構似合ってるぜ」
拍手や口笛、盛り上げるような高い声が発せられると、イユは「当然ね」と肩目を瞑って微笑み、趙雲は照れた笑みを浮かべて頭に手をやる。
『ありがとうございました。では、次に参りましょう』
イユと趙雲に丁寧に頭を下げると、アシスタンツの誘導でイユと趙雲はその格好のままステージから下ろされた。
「えっ、これ衣装変わったらそのままなの?」
驚いた様子でケイティが声を上げると、同じ事を気にしていた面々が頷く。
『はい、全員が終わるまではこのままとなります。どうしてもこれは、というご意見が自他共に揃うようでしたらまた考えさせていただきます』
未だに好の衣装に身を包んだままでかつ一部生足を披露している謝に言われては誰も反論出来ない。いつ変わるだろうか、誰と変わるだろうかという恐ろしさと期待が入り混じる中、次の組が決定した。